知れば納得、翻訳コラム

(その34)

I can’t help loving you (愛さずにはいられない):
イディオムの「….can’t help ~ing」は「~せずにいられない」という意味ですが、この場合の「help」は直前の「can’t (could’t)」 と結びつくことで「prevent」の意味に転じます。「~をすることを妨げることはできない」というニュアンスになります。たしか学校では、「….can’t help but +動詞の原形」でもそれと同じ意味になると盲目的に教わったと思います。普通に考えると「but」がつくので、全く反対の意味になるのではないかと疑問に思うはずですが、そこはそういうものとして丸覚えしたのではないでしょうか。文法的に説明しづらいからです。
今日は、上記のお悩みを文法的に無理なく解決してみましょう。
別の似たようなイディオムで「…can’t help myself」というのがあります。「自分を抑えきれない(我慢できない)」という意味です。また「but」には、等位接続詞としてよく知られている「しかし」という逆接としての使い方の他に、従位接続詞や前置詞としての別の意味の使い方もあります。
従位接続詞や前置詞の「but」の場合は「~を除く(except~)」という意味でよく使われます。「but that ~」は、「that(節) 以下を除くと」という意味になります。
すなわち「….can’t help but +動詞の原形」を上記の「…can’t help myself」と「but that ~」の複合したものの省略形とすれば、合点がいきます。
「I can’t help (myself) but (that) (I) love you.の省略形だと矛盾のない説明ができるでしょう。
分かりやすい従位接続詞や前置詞「but」の語句例として、
「nothing but ~」: これは「~以外を除くとnothing」から転じて→「~にすぎない、~のみ」という意味になります。※ゼロの領域から「~」を除くことで「~」が浮かび上がるということです。
「anything but ~」: これは「~以外を除くanything」から転じて→「~では決してない、」という意味になります。※anythingなんだけど「~」は、絶対除く(違いますよ)ということで、上記の「nothing but ~」とは焦点の当て方が違います。
「all but ~」: 「all but +(名詞、代名詞)」の時は、上記と同様に(名詞、代名詞)を除く全て(all)という意味になりますが、「all but +(形容詞、動詞)」の場合は「ほとんど(almost)」の意味になるので、覚え方に注意が必用になってきます。
では「all but +(形容詞、動詞)」は、なぜ「ほとんど(almost)」の意味になるかというのは、どれだけ調べても文法的に説明しているものは皆無です。しかしすごく簡単に文法的に納得がいくように落とし込む方法があります。「all なんだけど100%のbut以下だけ除く」とすれば、「ほとんど(almost)」という意味で理解できるようになります。
特に 「It never …… but ~」や「There is no rule …… but ~」のように、「nothing but ~」の応用も頻繁に使われるので、「but」の従位接続詞や前置詞の用法を理解すると、飛躍的に読解の応用力が向上するはずです。
また「but」には副詞の使い方もあってその場合は、She’s but a teacher(彼女は先生にすぎない)とか、This diamond is but expensive(このダイヤモンドはすごく高価だ) というように、「ただの(名詞)~」とか、形容詞などの強調表現に使用されます。
「ヤバイ」というのが、元々の意味とは正反対の意味として近年になって慣用的な表現として市民権を得たように、言葉のというのは、成立時期や成り立ちが様々なので、慣用的表現を全て文法的に解説しようとすると矛盾が起こり得ます。特にイディオム(慣用句)に関しては、無理のない解釈の仕方で矛盾なく文法的に理論づけることが英文読解の応用力をつける近道です。

(その33)

動詞と名詞の使い方がある語句:
google(ググる)などは皆さんご存じのように、社名(検索エンジン名)から派生した動詞です。元々はネット検索する際にGoogleを使って検索(search)するという意味でしたが、近年ではネット全般で検索する際に使われる動詞として確実に市民権を得ています。
同様な例として「phone」にも「fax」にも名詞だけでなく、動詞の使い方がありますし、意外なところでは「water」や「flower」にも動詞としての使い方があります。
その他の例を枚挙すると限りがないのですが、このような動詞と名詞の使い方がある語句の着目点を挙げるとすれば、アクセントと発音が動詞と名詞では異なることです。
分かりやすい例を挙げれば、use, excuse, increase, decrease,などです。useは名詞だと[ju:s]ですが動詞だと[ju:z]になり、excuseも名詞だと[ikskjú:s]ですが動詞だと[ikskjú:z]というように語尾が「s」から「z」に変わります。increaseの場合は、名詞だと[ínkri:s]ですが、動詞だと[inkrí:s]と後ろの音節にアクセントがきます。decreaseも同様に後ろの音節がアクセントになります。「名前動後」と呼ばれるように一般的に名詞は前にアクセント、動詞は後ろにアクセントがある場合が多いです(例外はもちろんあります)。
また名詞と動詞で全く関連がないような単語もあります。lieは名詞だと「ウソ」、動詞だと「横たわる」という使い方ができます。またtrainは名詞だと「列車」ですが、動詞だと「訓練する」となります。
その他、調べてみると以下のような興味深い語句もありました。
branch:名(枝、支店)、動(分岐する)
detail:名(詳細)、動(詳述する)
bicycle:名(自転車)、動(自転車に乗る)
top::名(頂上)、動(追い越す)
broom:名(ほうき)、動(ほうきで掃く)
comb:名(くし)、動(くしで髪をとく)
hammer:名(ハンマー)、動(ハンマーでたたく)
bomb:名(爆弾)、動(爆弾を落とす)
summer:名(夏)、動(夏を過ごす)
winter:名(冬)、動(冬を過ごす)
P.S.「summer」や「winter」って動詞でも使えるんですね、今まで聞いたことなかったですが、なんかキザなような気がします。

(その32)

甘エビ(deep-water shrimp):
エビを英語で言う時の分類は、大体3種類でしょうか。一般的に大きい方からLobster→ Prawn→Shrimpとイメージしておけば間違いないでしょう。
身近な例ですと、伊勢海老なんかは「Lobster」ですし、車エビだと「Japanese tiger prawn」と表記される様に「Prawn」です。甘エビぐらいの大きさになると「shrimp」に分類されます。
世界は広いので単に大小の比較で分類できないのが難しい所です。種類や地域などによって使われ方は様々です。ここでは便宜的に大きさで使い分けていますが、要はエビの種類(体の構造や機能の違いおよび系や属性)によって分類されていると考えられます。特に植物なんかはアホほど細かくて(学術名しかない植物はアホほどあります。)追いきれませんが、生物もよく知られている一般名や分類よりももっと細かく、学名というもので学術的に種や科や属などに枝分かれしています。

(その31)

clutch hit(タイムリーヒット):
Baseballだとバッターがヒットを打って得点が入るヒットのことを「clutch hit」もしくは「RBI hit」と言います。野球だと和製英語で「タイムリーヒット」と言います。日本語の文字ニュースだと文字数制限がある為か「タイムリーヒット 」のことを「適時打」と表記します。例えば「バレンティンが9回に中前適時打でヤクルトがサヨナラ」とか平気で流れてきますが、野球を知らない人には暗号の様にしか見えないと思います。「タイムリーヒット 」という和製英語のカタカナを更に強引に漢字表記にした野球専門用語になっています。

(その30)

Rhythmic Gymnastics(新体操):
オリンピック競技の体操は「Gymnastics」ですが、新体操は「Rhythmic Gymnastics」と言います。多分、「新体操」が海外で生まれた時に「Rhythmic Gymnastics」という言葉があったはずなのですが、誰かが「新しい体操の形だ」と言ったのをそのまま訳して「新体操」と定着してしまったのでは、というのが勝手なジジィの推測です。ISの事を「イスラム国」とする違和感のある訳語が一人歩きして定着してしまったのと似ているかもしれません。もしかしたら「リズミック体操」にしてみたものの、重厚感が無かったのでやめたのかもしれません。ちなみに、水球は、「water handball」ではなく「water polo」と言います。よく分かりませんが、何で水中のpoloやねんと思う次第です。また、サッカーは、ヨーロッパや南米では「football」が常識です。「soccer」で通じるのは、日本や米国など世界的には圧倒的に少数派です。

(その29)

猛禽類(birds of prey もしくは raptores):
コンドル、ワシ、タカ、ハヤブサ、フクロウなど鋭い爪とクチバシを持ち、他の動物を捕食する鳥を猛禽類(birds of prey)と呼びます。
preyは「獲物」という意味が一般的に浸透していますが、名詞だと他に「捕獲、捕食」という意味もあり、動詞だと「捕食する」という意味があります。上記の「birds of prey」は、「獲物になる鳥類」ではなく「捕食する(種類の)鳥類」と解釈できます。この場合の前置詞「of」は、所属を表しているのではなく、主格の性質を表す「of」です。
コンドル condor
ワシ  eagle
タカ  hawk
ハヤブサ falcon
フクロウ owl
コンドルの翼開長(wingspan)は、大きいものになると3mを超します。
また、フクロウは他の鳥と違って両目が前面についていますが、頭部が270度くらい回転するそうです。

(その28)

暴風雨に関するあれこれ:
雨、雪などを含むさまざまな規模の低気圧を構成する空気の塊を降水セル(precipitation cell)といい、それが大規模に発達すると→スーパーセル(supercell)と呼ばれる。
スーパーセルの水平規模は約10km〜100kmで暴風雨や竜巻(水平規模は数十mから数km) を伴う。Tornado Alley(竜巻の通り道)とかTornado Corridor(竜巻の廊下) と呼ばれるような北アメリカ大陸の中西部(米国のGreat Plains 地域)でよく発生する。
熱帯低気圧(Tropical Cyclone)は、日本などの北西太平洋では「typhoon」、メキシコ湾・カリブ海あたりでは「hurricane」、インド洋からオーストラリア、南太平洋方面 では「cyclone」と呼び方が異なる。

(その27)

色に関するイディオムあれこれ:
blue blood 上流階級、名門
born in the purple 王家に生まれる
greenhorn 初心者、世間知らず
yellow streak 臆病な性格
black sheep 厄介者
browned off 嫌気がさす、うんざりする
gray area グレーゾーン
paint the town red 馬鹿騒ぎ
in the pink 非常に元気
golden opportunity 絶好の機会
white lie 罪のない方便としてのウソ

(その26)

「“…….,” said +人名」:
ダブルクォーテーションで囲った直接話法の伝達部の後に、誰それが言ったと表記する場合に主語(S)と動詞(V)が倒置する表記をニュース記事などで見かけます。
例えば
・川平慈英が「アイム楽天カードマ~ン」と言った。(日本語)
上記の文を英語にすると……
・”I’m Rakuten Cardman,” said Jay Kabira.(英語)
というように主語(S)と動詞(V)の順番が逆になります。
なぜ倒置するかというのを調べてみると、語調やリズムを調整する為のようです。もちろん倒置せずに
・”I’m Rakuten Cardman,” Jay Kabira said. としても問題ありません。
注意点としては、人名代名詞(例えば、he とかsheとか theyなど)は、一般的にこのルールを用いてはいけない事になっています ※例外もあるようですが、深く追求する必要はないでしょう。
ちなみに英文で倒置が起こるのは、主に「強調」する為ですが、疑問文も語順が変わるので倒置の一種だと考えてもよいでしょう。倒置することで、疑問文ということが明確に分かるのです。でも、簡単な会話であれば疑問文など使わずに語尾のイントネーションを上げれば大概の意思疎通はできると思います。

(その25)

ASAP(as soon as possible):
メールで「ASAPで(できるだけ早く)返事ください」というのは、英語のメールでよく使ったりします。
では「AKA」は何の略でしょうか。あさま山荘事件の「連合赤軍」ではありません。正解は「also known as」です。「別名~」、とか「通称~」という風に正式名称ではないニックネームや通り名称の頭につけて使います。
ちなみに、米国のバンド「Red Hot Chili Peppers」のことをたいていの日本人は「てっちり」みないな言い方で「レッチリ」と略して呼びますが、ロック歌手の矢沢永吉さんは「レッド・ホット」と略すそうです。

(その24)

「saneの派生語」:
「sane」というのは「正気の」とか「思慮分別のある」という形容詞ですが、副詞になると「sanely」、名詞になると「sanity」となります。「sane」を逆の意味にする場合は、接頭語の「in」をそれぞれ各単語に付け加えるだけです。
「insane」は、「正気でない」とか「狂気の」という形容詞。
「insanely」は、「正気でないくらい」とか「非常識なほど」という副詞。
「insanity」は「狂気」とか「精神異常」という意味の名詞になります。
ちなみに、昔「Insanity and Genius」というタイトルのレコードがありました。「Genius」は、後天的な秀才や賢い人ではなく(生まれ持っての)天才という意味です。狂気と天才は紙一重だということでしょうか。
単語を覚える時は、派生語や対義語および類義語と併せて覚えると忘れにくいです。

(その23)

「選ぶ」のいろいろ:
pick: (よく考えずにサッサッと)選ぶ
choose: (2つ以上の選択肢から自分の判断基準を基によく考えて)選ぶ
select: (多数の選択肢から主観だけでなく客観的な妥当性も考慮し)選ぶ
elect: (選挙などである地位に就く人を)選ぶ
※上記以外の使い方もあります。

<まとめ>
これまで解説してきたように英語には多義的な単語(語句)が多く、その点が日本人の英文解釈を難しくさせている点です。
一方、英訳する場合は同じ日本語でも上記の例のように使い方やその使われる状況などによってそれぞれ概念が異なる単語(語句)を適切に使わないと、違和感が生じる場面が頻繁にあります。また、日本語では同じ意味で多彩な表現の仕方があっても英語だと数パターンしか対応する言語がない場合(もしくは辞書等にない)もあり、表現の幅をもたせるのにとても苦労します。
逆に、和訳する場合は、異なる英単語を同じ日本語で当てはめなければいけない状況(他の選択肢がない)になることも多々あり、そうすると繰り返し語句の多い単調な文章になるので、意訳したり表現方法を変えたり工夫しなければならないことがあるので、そこが翻訳者の力量が問われる所でもあります。

(その22)

さまざまな状況

either-or situation : 二者択一の状況
no‐win situation: 勝ち目のない状況
win-or-lose situation: 勝敗の分かれ目となる状況
desperate situation: 絶対絶命の状況
RBI situation: 得点圏にランナーがいる状況

<イメージの仕方>
condition→(個々の事情などの)条件
situation→(ある特定の時間間隔や場所における)状況
circumstance→(周囲の状況や様子を因子とする)境遇

(その21)

身体の一部に関連する語句のアレコレ(※対訳はあくまでニュアンス)

mouth-watering: よだれが出そうなほどおいしそうな
thumbs-up: 承認
breathtaking: 息を飲むような
nose-dive: 急降下
hair-trigger: 一触即発の
ear piercing: 耳をつんざくような
eye-opening: 目を見張るような
neck-and-neck : 互角の
handy: 便利な
nail down: 確実に~する
tear-jerking: 涙を誘うような
jaw-dropping: 漫画でよくあるアゴがガクーンするぐらいに開いた口がふさがらずにびっくり仰天し、唖然となるような←アゴが外れるわけではない。

(その20)

「may(might) as well A as B」:「BするくらいだったらAした方がましだ」と学校では習ったと思います。しかし、思考的に問題があります。わざわざ後ろから返って訳しているからです。翻訳文としては間違いではないですが、考え方としては大きなロスになります。前からこのように訳します。「Aする方がましだBするくらいなら」です。もちろん思考的にです。文章として表記する時は、学校で習ったように「BするくらいだったらAした方がましだ」という風に工夫するかもしれませんが。でも、「Aする方がましだBするくらいなら」でも大きな失点にならないでしょう。最初の「as」 は副詞で、「~と同等」です。二つ目の「as」は比較対象を指します。
応用編として「何倍」という時は最初の「as」の前に「数詞とtimes」をつけ加えますが、例えば “I have three times as many books as you have”だと「私は3倍多くの本をもっています。あなたと比較して」という考え方をします。もちろん文章にするときは少し工夫して「私はあなたより3倍多く本を持っています」という書き方をするかもしれません。作文を求められない読解問題などはわざわざ後ろから返って訳すと積もり積もると大きなロスなので、可能な限り英語の語順のまま理解します。
別の応用として” I can speak French as well as Japanese”という文があったら「私は仏語を話せます、日本語と同じくらいね」と考えます。アウトプットだけ帳尻を合わせて「私は、日本語も仏語と同じくらい話せます」としてしまうと伝達内容はだいたい同じかもしれませんが、中間の英文読解のフローも違えば、話者の力点も異なります。” I can speak French as well as Japanese”だと、話者が話したい優先度が高いのは、まず” I can speak French as well”です。”as Japanese”はそれよりも話したい優先度は低いです。日本語の文章に表記するとすれば「私は、日本語のみならず(日本語はもちろん)仏語も話せます」とすれば、より適切に文意が伝わると思います。
また上記の様なケースでは”as Japanese”などは文脈的に明白であれば、省略されることもあります。その場合は「私は、仏語も同様に話せます。」と解します。

つまり、(頭の中では)英語は前から順番に理解して、文章にする段階で(読み手が誤解しないように)適切に組みかえなさいよと。

(その19)

「signer(署名者)」: 英文の契約書や証明書の作成する際に「signer(署名者)」とすべき箇所を「singer(歌手)」と間違えてしまうと致命傷です。スペリング自体は間違っていないので、Wordなどのスペルチェック機能もスルーされるのでダブルチェック等を行い細心の注意を払う必要があります。

(その18)

「unlock」:
直訳的に「鍵を開ける」という使い方の他にも「解き明かす」「(可能性を)引き出す」という使い方もあります。例えば「unlock the mystery」、「unlock the secret」、「unlock the potential」「unlock the ideas」のように使います。

(その17)

分数の英語表記:分子は基数ですが分母は序数です。例えば「1/3」なら「one thirdか a third」。「2/3」なら「two thirds」。「1/4」なら「one fourthか a fourth」。「3/4」なら「three fourths か three quarters」。ハイフンを入れる表記方法もあって「8/10」なら「eight-tenths」と表記します。注意点としては。分子が「1」の時は「a」となる場合があって日本人は見逃しやすい点です。例えば「1/2」なら「one half」としても 「a half」でも同じ意味です。また、分子の序数が複数になると分母の序数は複数形になります。

(その16)

文末の「as it is (was)」:文末でこのような形が出てきたらたいてい「様態」の「as」です。「…. environment as it is.」 だったら「現在の(ありのままの)環境」という意味になり、「…. remain same as it was before.」だったら「….が以前のまま残っている」という意味になります。その他にも「as」 には、前置詞、関係代名詞、副詞、接続詞といろいろな使われ方をし、接続詞だけでも譲歩、比較、比例、時など非常に多義的な使われ方をします。

(その15)

「時や場所+saw」: 前回のseeの用法と関連して。sawの文語的な言い回しの例。例えば「時」を主語にして「Yesterday saw the end of the Japan Series」だと「昨日、日本シリーズが終わった。」と訳出します。「場所」を主語にして「Kanazawa City saw a significant decrease in traffic fatalities over the last 2 decades.」とすると「過去20年間で金沢市の交通事故死は著しく減少した。」のようになります。時や場所などがあたかも事件やイベントを目撃(saw)したかのような英語ならではの無生物主語を使った言い回しです。

(その14)

「see a doctor」:「医者を見る」と訳してしまいそうですが、「医者に会う」という意味が転じて「医者に診てもらう」となります。似たような紛らわしい動詞に「consult ~」というのがあります。例えば「consult a lawyer」なら「弁護士に相談する」です。「consult ~」は、「~(専門家)に相談する」という使い方でよく使われます。その他「consult 」には「調べる」や「考慮する」という使い方もあります。ちなみに「~の顧問をしている」という場合は「consult for ~」です。また「see」には、「理解している、分かっている」という含意の使い方があって、会話文などで「I see, I see」というように相手の言っていることを理解しているという意味で相づちを打つケースがよくあります。

(その13)

「,(カンマ)+ only to」: 文中にカンマで区切られて「~,only to …」と文章が続く場合があります。訳し方としては、「~だったけど、結局……だった」というような結果を表す使い方です。期待ハズレだった時に失望を表す使い方が多いように思います。関係詞の非制限用法のように一度カンマで意味を区切ってから、付加的に「結局…するにしかすぎなかった」と捉えれば難しくないでしょう。慣れてくれば文脈から意識せずとも自然に頭に入ってきます。文法や語法を学ぶのは、マークシートで正解を選ぶのが目的ではないのです。文法の理解はあくまで事前準備です。ふいに文章中でそういう機会に出会った際に、無意識に感じて反応できる準備をしておくことです。

(その12)

「wise」:例えば「wise man」が「賢者」を意味するように「賢い、思慮深い」などの形容詞の意味でよく使われます。あまり馴染みはないですが、動詞の使い方では「気づく」、「知らせる」という使い方もあるようです。ここで注目して欲しいのは、接尾語として「-wise」が使われる場合です。頻繁に使われる「clockwise」は、「時計まわり」を意味し、その逆は「counterclockwise」です。「moneywise」は、「金銭的な」という意味になります。「likewise」だと「同様に」で、「otherwise」だと「さもなくば、その他の点では」という使い方が多いと思います。接尾語で「-wise」が使われると「方向」、「関連」、「方法」などの文意で上記以外でもいろいろな語句で使われます。
※接尾語におけるハイフンの有無にも使い方に区別がありますが、今回は説明を割愛します。

(その11)

「untold」:「まだ語られていない」という使い方がある他に、「(語れないほど)莫大な、膨大な、重大な」という形容詞の使い方があります。CMでも流行った「Priceless」が、「(値段がつけられないくらい)極めて貴重な」という意味があるのと同じような捉え方でしょうか。

(その10)

「go viral」: SNSの普及によって日本語でもバイラル・マーケティングという言葉が浸透していますが、英語で「go viral」というのはインターネットや口コミなどで爆発的に情報が広まるニュアンスです。訳語としては「流行する」、「バズる」、「炎上する」など、翻訳する文章の性質に応じていろいろ考えられます。「viral」というのは、「virus」の形容詞形です。「virus」は、みなさんご存じの「ウィルス」の意味です。「ウィルス(ビールス)」と発音するのは、典型的なジャパリッシュ(由来はウィルスはラテン語からの派生。ビールスはドイツ語の読み方)です。英語の発音をカタカナ表記しないという不文律を敢えて破るとすれば、「virus」の発音は「ヴァイルス」です。「vitamin」は「ヴァイタミン」です。「Vegeta」は、「ベジータ」です。

(その9)

「NEET」: 「Not in Employment, Education, or Training」
→「ニート」→「引きこもり」→「自宅警備員」→「セコムしてますか!」
※最後のは、長嶋茂雄風に言います。

(その8)

義務だけではない「should」: 「should」の「~すべき」という意味は、氷山の一角です。元々は「shall」の過去形(※形が過去形なのであって、必ずしも過去を意味するわけではない。ここでは時制の一致については、理解しているものとして省略)なので、どちらかと言えば未来志向の意味があります。「will」の「would」と「shall」の「should」を対比して考えてると分かりやすいかもしれません。
「will」と「shall」のコアイメージの比較を超ざっくり説明(「will」にも「shall」にも、意志未来と単純未来の使い方があるというのもここでは省略)すると、「will」が個人的な意思表明であり、「shall」は自分の意思でなく必然的にそうなる運命的な未来です。それぞれの過去形である「would」と「should」は、それらより婉曲的な意味や強さになります。
仮定法において条件節や帰結節で「should」が使われている時には、「運命的な未来」を婉曲的に指しているだけであり、 「should」を機械的に 「~すべき」としたら、これもどえらいことになります。

(その7)

「per se」: 元々ラテン語で、派生して英文中でも使われます。直前の名詞あるいは名詞句、名詞節のなどの後に続いて「……それ自体は」というニュアンスで意味を捉えます。「per se」に出合う確率というのは、誰かが1年のうちに「ひゃくまんさん」と出会う確率ぐらいだと思います。(つまり、人それぞれ個人差がありますが、確実に存在するということです)

(その6)

「S+is+of+抽象名詞」: 「of」は名詞と名詞を繋ぐだけでなく、主語の性質や特徴を表す場合に使うことがあります。「S is of importance」とか「S would be of help」などです。

(その5)

「yet」の様々な使われ方 : 肯定文でも否定文でも「まだ~」という意味でもちろんよく使われています。それ以外でも接続詞として文中で「but」の代わりに「yet」を使って「・・・だけど~」という使い方もあります。また副詞として使われる場合、「yet more」のように比較級や「highest yet」のように最上級と連関して、それらを強調する使い方があります。その他にも「yet another」や「yet again」のように、「one more」の意味で使用することもあります。「yet」を一義的に「まだ~」とだけ覚えていると、長文を解釈する際にどえらいことになります。

(その4)

“That’s what I said to you before” : 「それ、僕が前に言ったことですよ」
※ 例えば、会社の上司やクラブ活動の先輩が、過去に自分がその人に教えたレア情報(例えば、イースタンリーグの試合結果やドカベン香川の引退後の人生など)を数か月後に我が物顔で話してきた場合は….。”That’s what I said to you before「それ、僕が前に言ったことですよ」”と心の中で唱えましょう。口に出してはいけません。その人は、仕入れ元の情報ソースを覚えておらず悪気なく受け売りしているだけです。もし、口に出すなら「先輩、マジっすか」と言いましょう。もちろんダブルミーニングで。

(その3)

“Is this Ken?” “No, this is our new classmate, Vahid Halilhodžić”:
「こちらはケンですか?」
「いいえ、新しいお友達のハリル・ホジッチくんです。」
※クラスに転校生としてハリル・ホジッチ監督が来たときに使います。

(その2)

「That being said」:文頭の副詞句として、主に逆接的に前文を受けて「~とは言っても」。文中の「That said,..」には、この省略形のパターンもある。文脈によっては順接でも使われることあり。口語の場合「Having said that」が同義。

(その1)

「if anything」:挿入句の場合、「むしろ」「もしあったとしても」など